安全や安定操業は、多くの企業にとって共通の課題だ。事故やトラブルなど「過去の失敗」を教材に、社員教育に取り組む企業がある。
自動車部品製造大手「アイシン」の本社(愛知県刈谷市)には、「伝承館」と呼ばれる施設がある。
昨年、元日に発生した能登半島地震からの復旧をテーマにした展示が加わった。
アイシンでは、富山県射水市に拠点を置く子会社「アイシン軽金属」の工場で、生産設備に被害が出たという。展示は、いかにして早期の稼働を実現したか、その経緯を写真やパネルで紹介している。
伝承館は2016年4月にオープンした。それまでは同社の技術や製品を紹介する場所だったが、こうした展示が新しい施設に移ったことから企画した。
アイシン「伝承館」、火災事故がきっかけ
1997年2月に起きた、アイシン精機(現アイシン)刈谷工場で起きた火災事故を伝えるのが目的だった。事故により、4日間生産が止まり、トヨタ自動車をはじめとする自動車生産に大きな影響が出た。
この火災は、配線がショート…